検察統計でみる告訴事件の起訴率と期間

法務省の検察統計(2016〜2025年)から、警察経由の告訴の人員、起訴率、不起訴の理由、検察庁での処理期間を、何を数えた数字なのかという読み方とあわせて整理します。

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このページの要点

  • 検察統計の告訴の数字は、検察庁で処理が済んだ被疑者の人員です。警察が受理した告訴の件数ではなく、被疑者が特定されていない告訴は、数え方からみて入らないと考えられます。
  • 警察経由の告訴は2019年の4,338人を底に増え、2025年は6,891人で10年間の最多です。名誉毀損(侮辱を含む)は2016年の360人から969人へ2.69倍になりました。
  • 警察経由の告訴の起訴率は2016年34.0%から2025年26.5%へ低下しました。不起訴の理由は嫌疑不十分44.6%、起訴猶予30.6%が中心です(2025年、表38)。
  • 告訴・告発事件は検察庁の受理から3月以内に74.0%が処理されます。警察の告訴受理件数は令和期に定期公表が見当たらず、受理される割合は計算できません。

結論:警察経由の告訴は2025年に6,891人、起訴率は26.5%です

結論

  • 法務省の検察統計で、警察(司法警察員)に告訴された事件として検察庁が処理を終えた被疑者は、2025年に6,891人でした。2016〜2025年の10年間で最も多い数です。
  • そのうち起訴されたのは1,763人、不起訴は4,894人で、起訴率(起訴÷(起訴+不起訴))は26.5%です。2016年の34.0%から下がる傾向にあります。不起訴の理由で最も多いのは嫌疑不十分(44.6%)で、起訴猶予(30.6%)が続きます。
  • 告訴・告発事件のうち、検察庁が受理してから3月以内に処理を終えたのは2025年で74.0%です。ただし警察で告訴を受けてから検察庁へ送るまでの期間は、この数字に入っていません。
  • これらは「検察で処理が済んだ被疑者の人員」で、警察が受理した告訴の件数ではありません。

告訴とは、犯罪の被害を受けた人などが、警察や検察官に犯罪の事実を申し出て、犯人の処罰を求める意思を示すことです。告訴を受けて捜査の対象になった人を被疑者と呼び、検察官は捜査の結果、被疑者を裁判にかける(起訴)か、かけない(不起訴)かを決めます。

このページでは、法務省の検察統計調査(e-Stat で公表)の表37・表38・表30・表5を使い、「告訴したらどれくらい起訴されるのか」「どれくらい待つのか」を、2016〜2025年の数字で、何を数えた数字なのかという読み方から整理します。

統計は全国の集計で、個別の事件の見通しを示すものではありません。

この数字は何を数えているか:検察で処理が済んだ「被疑者の人員」

検察統計の告訴の数字は、告訴状の通数でも、警察が受け付けた件数でもありません。単位は「人員」、つまり被疑者の人数です。1通の告訴状に被疑者が2人書かれていれば2人と数えられます。

数えるのは「既済」、つまり検察庁で処理が済んだ事件だけで、未済の事件は入りません。年の区切りも告訴をした年ではなく処理が済んだ年で、2025年の数字に2024年以前の告訴が含まれることもあります。

表37・表38は、事件の始まり(統計では「端緒」と呼びます)ごとに人員を分けています。区分には「司法警察員に告訴」「検察官に告訴」「司法警察員に告発」「司法警察職員認知」などがあります。司法警察員は、告訴を受けて書類と証拠物を検察官へ送る立場にある捜査機関の職員です(刑訴法241条・242条)。このページでは、「司法警察員に告訴」を警察経由の告訴、「検察官に告訴」を検察庁への直接の告訴と呼びます。

このほか、表37・表38には次の除外があります。表の題名で、自動車による過失致死傷等と道路交通法等違反の事件が除かれています。表37の注1は、時効再起事件と、既済事由が「他の検察庁に送致」である事件の人員を含まないとしています。罪名は、事件を受理した時の被疑者の罪名によります。

警察経由の告訴が検察統計の数字になるまで

  1. 警察(司法警察員)

    告訴を受ける。受理しなかった告訴、受理後に検察庁へ送られていない告訴は、検察統計に現れない。

    刑訴法241条・242条

  2. 警察から検察庁へ

    告訴に関する書類と証拠物を検察官に送付する。検察庁がこれを受理した日から、表30の処理期間の計算が始まる。

    刑訴法242条/表30注2

  3. 検察官

    捜査のうえ、起訴か不起訴などの処分をする。処分が済んだ時点で「既済」となる。

    刑訴法247条・248条

  4. 検察統計

    既済となった被疑者の人員を、端緒(司法警察員に告訴など)・罪名・処分の別に数える。

    表37・表38(他の検察庁に送致された人員を除く)

統計の数え方を示すため、条文と表の注記から整理した図です。

刑事訴訟法 第二百四十二条

司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

要旨警察が告訴を受けたときは、関係する書類と証拠物を検察官へ速やかに送ることになっています。統計の「司法警察員に告訴」の人員は、こうして検察庁に送られ、処理が済んだ事件の被疑者を数えたものです。

人員は被疑者ごとに数えるため、被疑者が特定されないまま(氏名不詳のまま)の告訴は、この数字には現れないと考えられます。これは表の注記に書かれた除外ではなく、「被疑者の人員」という数え方から推し量った点で、表の定義文では確認できていません。インターネット上の書き込みのように相手が分からない段階の告訴は、被疑者が特定されるまで統計の外にあると考えられます。

もう一つの注意は、表どうしで総数が合わないことです。2025年は、表30の被疑事件の総数350,390人に対し、表37・表38の総数は303,691人で、差は46,699人です。この差は、表8の「他の検察庁に送致」の人員46,699人と一致し、表37・表38の注1の除外と整合します。表30の告訴・告発事件(2025年13,347人)と表37の告訴・告発4区分の合計(11,750人)の差1,597人の原因は、確認できていません。

警察経由の告訴の人員の推移(2016〜2025年)

警察経由の告訴の人員は、2016年の5,500人から2019年の4,338人まで減り、その後は増えて、2025年は10年間で最多の6,891人でした。2019年と比べると58.9%、前年(2024年)と比べると17.7%の増加です。

一方、検察庁への直接の告訴は、2017年の4,132人が最多で、2025年は1,427人で最少でした。告訴(警察経由と直接の合計。2025年8,318人)のうち警察経由の割合は、2016年の62.6%から2025年の82.8%へ上がっています。

なぜ増えたのか、なぜ警察経由の割合が上がったのかは、統計からは特定できません。人員は既済の年で数えるため、ある年に処理が集中すれば、その年の数字が膨らむこともあります。このページでは理由づけをしません。

統計警察経由の告訴と検察庁への直接の告訴(既済人員、2016〜2025年)

年警察経由の告訴(人)検察庁への直接の告訴(人)告訴のうち警察経由の割合
2016年5,5003,28562.6%
2017年5,0874,13255.2%
2018年4,6112,18167.9%
2019年4,3382,52463.2%
2020年4,6602,37366.3%
2021年5,3973,25962.3%
2022年5,2772,29469.7%
2023年5,1783,32760.9%
2024年5,8572,08373.8%
2025年6,8911,42782.8%

出典:検察統計調査(e-Stat)表37「司法警察員に告訴」「検察官に告訴」列の総数行、2016〜2025年(確認日 2026-10-24)

警察経由の割合=警察経由÷(警察経由+直接)。例:2025年=6,891÷(6,891+1,427)=82.8%。増減率=(後の年−前の年)÷前の年。2019年比=(6,891−4,338)÷4,338=58.9%、前年比=(6,891−5,857)÷5,857=17.7%、2016年比=(6,891−5,500)÷5,500=25.3%。

検察庁への直接の告訴は、2025年の表37で職権濫用が355人と最も多く、公文書偽造も130人あります。直接の告訴の数字は、私人どうしの被害を告訴する場面とは罪名の構成がかなり違います。

警察経由の告訴6,891人は、2025年に検察庁で処理が済んだ被疑者全体(表37の総数303,691人)の2.3%です。

罪名別の内訳と増減:最多は毀棄・隠匿、伸びが目立つのは名誉毀損

表37は、警察経由の告訴の人員を罪名別に示しています。2025年に多いのは、毀棄・隠匿(器物損壊・建造物損壊等)1,113人、名誉毀損(侮辱・死者の名誉毀損を含む)969人、詐欺(準詐欺・電子計算機使用詐欺を含む)821人、漁業法違反489人、横領(業務上横領・遺失物等横領を含む)408人、過失傷害346人、傷害(暴行を含まない小分類)336人、労働基準法違反310人です。

増え方が目立つのは名誉毀損で、2016年の360人から2025年の969人へ2.69倍、前年比でも40.4%増です。傷害は2025年に前年比56.3%増の336人、労働基準法違反は2019年の142人から310人へ2倍以上になりました。詐欺は2024・2025年とも800人台、横領は10年間を通じて300〜400人台です。

表37の罪名は「大分類」で、名誉毀損の行には侮辱罪が含まれます。ストーカー規制法違反、著作権法違反、不正アクセス禁止法違反には単独の行がなく、「その他の特別法犯」(2025年223人)に含まれるため、取り出せません。

統計罪名別:警察経由の告訴の人員と増減

罪名2016年2019年2024年2025年2016年→2025年
総数5,5004,3385,8576,891+25.3%
毀棄・隠匿(器物損壊等)9817579261,113+13.5%
名誉毀損(侮辱を含む)360449690969+169.2%
詐欺647684808821+26.9%
横領(業務上・遺失物を含む)353311369408+15.6%
傷害(小分類。暴行を含まない)257180215336+30.7%
漁業法263231425489+85.9%
労働基準法220142249310+40.9%
窃盗131133156200+52.7%

出典:検察統計調査(e-Stat)表37「司法警察員に告訴」列、各罪名行、2016・2019・2024・2025年(確認日 2026-10-24)

増減率=(2025年−2016年)÷2016年。例:名誉毀損=(969−360)÷360=169.2%(2.69倍)、傷害の前年比=(336−215)÷215=56.3%、労働基準法の2019年比=(310−142)÷142=118.3%。人員が2桁から3桁の罪名は、少しの増減でも率が大きく動きます。罪名は表37の大分類によりますが、傷害は大分類(暴行を含む)ではなく小分類の「傷害」の行です。

罪名ごとに、検察庁で処理が済んだ事件のうち告訴(警察経由と直接の合計)から始まったものの割合を見ると、性格の違いが分かります。2025年は、名誉毀損が64.6%((969+141)÷1,717)で、事件の過半が告訴から始まっています。名誉毀損が親告罪(告訴がなければ検察官が起訴できない罪)であることと整合します。毀棄・隠匿は15.3%、詐欺5.2%、横領5.4%、傷害2.2%、窃盗0.3%で、被害届や警察の認知から始まる事件が大部分です。

告訴の合計8,318人(2025年)の中での構成比は、毀棄・隠匿13.8%、名誉毀損13.3%、詐欺10.8%、職権濫用6.9%、傷害(小分類)6.1%、漁業法違反5.9%、横領5.1%です。名誉毀損の構成比は、2016年の5.3%(465÷8,785)から大きく上がりました。

それぞれの罪の告訴の要件や考え方は、名誉毀損・侮辱罪で告訴するには、詐欺・金銭トラブルの告訴と民事不介入、傷害・器物損壊・窃盗の告訴の各ページで扱っています。

起訴率の推移:2016年34.0%から2025年26.5%へ

起訴率は、検察統計の表5の起訴率と同じく「起訴÷(起訴+不起訴)」で計算します。中止や家庭裁判所への送致は分母に入れません。起訴には、法廷で裁判が開かれる公判請求と、裁判を開かずに書面の審理で罰金や科料を科す略式命令請求の2種類があります。

警察経由の告訴の起訴率は、2016年の34.0%から2022年の25.6%まで下がり、2023年に29.2%へ戻ったあと、2025年は26.5%でした。参考として、2015年は起訴2,014人・不起訴3,720人で35.1%でした(2015年の表38は、旧形式のExcelファイル(xls)で公表されています)。

2025年に起訴された1,763人のうち、公判請求は776人(44.0%)、略式命令請求は987人です。

統計警察経由の告訴の起訴・不起訴と起訴率(既済人員)

年起訴(人)不起訴(人)起訴率全端緒の起訴率(参考)
2015年(参考)2,0143,72035.1%43.6%
2016年1,7763,44534.0%42.7%
2017年1,5143,35431.1%42.0%
2018年1,2663,19628.4%41.6%
2019年1,2992,92030.8%41.8%
2020年1,3783,16930.3%41.1%
2021年1,4523,80827.6%40.7%
2022年1,3213,84425.6%39.3%
2023年1,4703,57129.2%39.6%
2024年1,6404,04928.8%40.4%
2025年1,7634,89426.5%40.7%

出典:検察統計調査(e-Stat)表38「司法警察員に告訴」列と「総数」列(全端緒)、2016〜2025年(確認日 2026-10-24)。2015年は旧形式(xls)の2015年表38の同じ列

起訴率=起訴÷(起訴+不起訴)。例:2025年=1,763÷(1,763+4,894)=26.5%、2016年=1,776÷(1,776+3,445)=34.0%、2015年(参考)=2,014÷(2,014+3,720)=35.1%。全端緒の2025年=109,091÷(109,091+158,883)=40.7%、2015年=126,036÷(126,036+163,248)=43.6%。

同じ表38の全端緒(告訴に限らないすべての事件)の起訴率は、2025年に40.7%で、警察経由の告訴より約14ポイント高くなっています。検察庁への直接の告訴の起訴率は、10年間を通じて0.8〜1.6%(2025年は17人で1.2%)です。

ただし、この差から「告訴事件は起訴されにくい」「警察に出すほうが有利」とは言えません。告訴事件と警察が自ら認知した事件とでは罪名の構成が違い、直接の告訴は職権濫用など特定の罪名に偏っています。統計が示すのは結果の違いで、原因ではありません。

罪名別の起訴率(全端緒・2025年):告訴事件だけの起訴率ではありません

罪名(大分類)起訴(人)不起訴(人)起訴率
名誉毀損(侮辱を含む)4341,23326.0%
脅迫9621,80834.7%
傷害(大分類。暴行を含む)10,48226,23228.6%
暴行(傷害の内数)4,47412,45426.4%
詐欺8,2487,75151.6%
横領1,4314,91922.5%
窃盗31,14238,80144.5%
毀棄・隠匿1,6375,20823.9%

出典:検察統計調査(e-Stat)表5(平成24年〜令和7年の累年比較)の2025年の値(確認日 2026-10-24)。表5は告訴・被害届・現行犯・警察の認知など、すべての端緒を含みます。告訴された事件に限った罪名別の起訴率は、表5・表37・表38のいずれにも公表されていません。

不起訴の内訳:嫌疑不十分と起訴猶予で7割台

表38は、不起訴をその理由ごとに分けています。2025年の警察経由の告訴では、不起訴4,894人のうち、嫌疑不十分が2,183人(44.6%)、起訴猶予が1,499人(30.6%)で、この二つで不起訴の75.2%を占めます。続いて、罪とならず483人(9.9%)、嫌疑なし363人(7.4%)、親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し281人(5.7%)です。

法務省(検察庁)の説明では、嫌疑不十分は犯罪を立証する証拠が不十分な場合、起訴猶予は証拠が十分でも、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重、情状などを考えて起訴を必要としないと判断した場合とされています。起訴猶予の根拠は、次の刑訴法248条です。告訴があっても、検察官に起訴が義務づけられるわけではありません。

刑事訴訟法 第二百四十八条

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

要旨犯罪の疑いが認められる場合でも、検察官は、本人の事情、犯罪の軽重や情状、犯罪後の情況を考えて、起訴しないと決めることができます。統計の「起訴猶予」はこの判断による不起訴です。

統計警察経由の告訴の不起訴の内訳(2016年と2025年)

不起訴の理由(表38の区分)2016年(人)2016年の構成比2025年(人)2025年の構成比
嫌疑不十分1,30838.0%2,18344.6%
起訴猶予1,26436.7%1,49930.6%
罪とならず1263.7%4839.9%
嫌疑なし1524.4%3637.4%
親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し51114.8%2815.7%
その他(時効完成・心神喪失など)842.4%851.7%
不起訴の計3,445100%4,894100%

出典:検察統計調査(e-Stat)表38「司法警察員に告訴」列の既済事由別の行、2016年・2025年(確認日 2026-10-24)

構成比=各理由の人員÷不起訴の計。例:2025年の嫌疑不十分=2,183÷4,894=44.6%、2016年の親告罪の告訴等の欠如=511÷3,445=14.8%。「その他」は、刑事未成年・心神喪失・確定判決あり等・時効完成・その他の区分の合計(2016年=6+5+3+39+31、2025年=1+6+2+36+40)。

年ごとの動きでは、罪とならずが2021年に20.0%、2022年に24.4%と突出し、2023年以降は7.4〜9.9%に戻りました。この山がどの罪名によるものかは、表38が罪名別でないため分かりません。

「親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し」は、親告罪について有効な告訴がない、または告訴が取り消された場合などの区分で、2016年の14.8%から2025年の5.7%へ下がりました。告訴期間を過ぎた場合だけを数えた区分ではありません。親告罪と告訴期間の仕組みは、告訴期間6か月と親告罪の一覧のページで説明しています。

「嫌疑なし」「罪とならず」の公式の定義文は、調べた範囲では確認できていないため、このページでは意味の言い換えを控えます。

告訴をした人は、不起訴になった場合、検察官に請求すればその理由を告げてもらえます(刑訴法261条)。不起訴の判断に不服があるときの検察審査会への申立てなど、処分のあとの制度と件数は、不起訴になったら:検察審査会と付審判のページで扱っています。

処理期間:検察庁が受理してから3月以内に74.0%

表30は、告訴・告発事件について、検察庁が事件を受理した日から処理が済んだ日までの日数を区分して示しています(表30の注2)。2025年の告訴・告発事件13,347人の内訳は、15日以内4,030人、1月以内2,406人、2月以内2,202人、3月以内1,235人などでした(内訳は下の表)。

累計すると、3月以内に処理が済んだのは74.0%、6月以内は89.5%、1年を超えたのは1.6%です。10年間で見ると、3月以内の割合は71.5〜79.9%、6月以内は88.3〜92.8%の範囲で動いており、はっきりした増減の傾向はありません。全事件では2025年に3月以内が90.4%、6月以内が97.6%で、告訴・告発事件のほうが時間がかかっています。

統計告訴・告発事件の検察庁での処理期間(2025年)

検察庁が受理してから既済まで人員累計の割合
15日以内4,03030.2%
1月以内2,40648.2%
2月以内2,20264.7%
3月以内1,23574.0%
6月以内2,07289.5%
1年以内1,18598.4%
2年以内21099.9%
2年を超える7100%
計13,347—

出典:検察統計調査(e-Stat)表30(最高検、高検及び地検管内別 被疑事件の総数及び告訴、告発事件の処理期間別人員)総数行、2025年(確認日 2026-10-24)

累計の割合=その区分までの人員の合計÷計。例:3月以内=(4,030+2,406+2,202+1,235)÷13,347=9,873÷13,347=74.0%、6月以内=(9,873+2,072)÷13,347=89.5%、1年超=(210+7)÷13,347=1.6%。全事件の3月以内=(141,783+101,779+51,594+21,552)÷350,390=90.4%。表30は告訴と告発を合わせた数字で、他の検察庁に送致された事件も含みます。

この期間の起点は検察庁が事件を受理した日で、警察が告訴を受けてから検察庁へ送るまでの期間は含まれません。告訴をした人から見た「告訴してから処分が出るまで」は、この表の期間より長くなります。

警察での期間について、公的に示された数字は限られています。2017年4月6日の参議院法務委員会で、警察庁の審議官は、各都道府県警察の知能犯捜査部門が2016年に処理した告訴・告発1,868件について、受理後3か月未満が約28%、3か月以上6か月未満が約14%、6か月以上1年未満が約17%、1年以上2年未満が約19%、2年以上が約22%と答弁しています。これは詐欺や横領などを扱う知能犯捜査部門に限った、2016年の「件数」の数字で、警察全体の値ではなく、検察統計の人員ともつながりません。

告訴が受理されたあと警察と検察庁で何が行われるかは、受理後の流れと取下げ・示談・虚偽告訴の注意のページで説明しています。

警察の告訴受理件数は、令和期に定期的な公表が見当たりません

「告訴状を出した人のうち何割が受理されるか」「受理された告訴の何割が起訴されるか」を知るには、警察が受理した告訴の件数が必要です。しかし、令和期には、警察庁による告訴受理件数の定期的な公表が見当たりません。警察庁の「令和7年の刑法犯に関する統計資料」の表の一覧(図表1-1-1〜1-5-4)にも、告訴の受理を扱った表は見当たりませんでした。

過去には公表された例があります。平成15年版警察白書の表3-1は、全国の告訴・告発の受理件数を、1998年2,478件、1999年2,372件、2000年3,449件、2001年3,319件、2002年3,035件と示していました。また、2017年4月6日の参議院法務委員会では、知能犯捜査部門が受理した告訴・告発の件数が、2012年1,958件から2016年1,926件まで、おおむね横ばいと答弁されています。この約1,800〜2,000件は知能犯捜査部門の数字で、警察全体の受理件数ではありません。

国会の「把握していない」という答弁は、対象がそれぞれ違います。

告訴・告発の件数についての国会答弁と公表資料(対象の違い)

日付・場述べた内容対象
平成15年版警察白書 表3-11998〜2002年の告訴・告発の受理件数・処理件数警察全体の告訴・告発(件数)
2016年10月25日 参議院法務委員会(法務省刑事局長)最終的に受理しないこととされた件数は把握していない検察当局での告訴・告発の取扱い
2017年4月6日 参議院法務委員会(警察庁審議官)2012〜2016年の受理件数と2016年の処理期間知能犯捜査部門が受理した告訴・告発
2017年6月1日 参議院法務委員会(法務省刑事局長)予備罪・未遂罪のみで受理された件数は統計を取っていない予備罪・未遂罪のみの告訴
2019年11月25日 参議院行政監視委員会(警察庁審議官)被害申告が不受理となった件数は把握していない被害申告(被害届)の不受理
2022年5月11日 衆議院法務委員会(国家公安委員長)侮辱罪の告訴を受理した件数は把握していない(認知・検挙件数を答弁)侮辱罪の告訴

出典は国会会議録検索システムの各会議録と警察白書(このページの出典の節を参照)。令和期に警察全体の告訴受理件数を定期的に公表した資料は、調べた範囲では見当たりませんでしたが、警察庁の公表資料をすべて確認したわけではありません。

確認できていないこと

警察が受理した告訴の全国の件数、受理しなかった告訴の件数は、令和期について確認できていません。このため、告訴が受理される割合や「告訴状を出した人のうち起訴される割合」は、公的な統計からは計算できません。こうした割合を示す記述を見かけたときは、何を分母にした数字かを確かめる必要があります。

告訴が受理されない場面と、そのときに見直す点は、告訴状が受理されない理由と対処のページで扱っています。

数字の限界:この統計で言えること・言えないこと

第一に、分母に入らない告訴があります。警察が受理しなかった告訴と検察庁へ送られていない告訴は、表37・表38に現れません。被疑者が特定されていない告訴も、人員という数え方からみて現れないと考えられます。起訴率26.5%は、告訴状を出した人のうち起訴される割合ではありません。

第二に、区分の中身が確認できない点があります。「司法警察員」の列に、警察官以外の司法警察員(労働基準監督官など)による受理が含まれるかは、表の定義文では確認できていません。労働基準法違反や漁業法違反の告訴の人員を読むときは、この点に留意が必要です。また、罪名は受理した時の罪名で、捜査の結果、別の罪名で処分された場合も受理時の罪名で数えられます。

第三に、統計は原因を語りません。告訴が増えた理由、起訴率が下がった理由、直接の告訴の起訴率が低い理由は、いずれも表からは特定できません。

検察統計で答えられる問い・答えられない問い

問い答えられるか使う表・理由
警察経由の告訴で処理が済んだ被疑者は何人か答えられる表37・表38(2025年6,891人)
その中で起訴された人の割合は答えられる表38(2025年26.5%)
告訴・告発事件が検察庁で処理されるまでの期間は答えられる表30(3月以内74.0%)
告訴された名誉毀損・詐欺などの罪名別の起訴率は答えられない告訴に限った罪名別の処分結果が公表されていない
警察が受理した告訴の件数・受理されなかった件数は答えられない令和期に定期的な公表が見当たらない
警察で告訴を受けてから処分までの全体の期間は答えられない表30の起点は検察庁の受理日

表の番号は、検察統計調査(e-Stat)の年次の表番号です。

まとめ

  • 検察統計の告訴の数字は、検察庁で処理が済んだ被疑者の人員です。警察が受理した告訴の件数ではなく、被疑者が特定されていない告訴は、数え方からみて入らないと考えられます。
  • 警察経由の告訴の人員は2019年の4,338人を底に増え、2025年は6,891人で10年間の最多でした。名誉毀損(侮辱を含む)は10年で2.69倍の969人です。
  • 警察経由の告訴の起訴率は2016年34.0%から2025年26.5%へ下がりました(参考:2015年は35.1%)。不起訴は嫌疑不十分44.6%、起訴猶予30.6%が中心です。
  • 告訴・告発事件は、検察庁が受理してから3月以内に74.0%、6月以内に89.5%が処理されています。警察での期間は含まれません。
  • 警察の告訴受理件数は令和期に定期的な公表が見当たらず、受理される割合や「告訴状を出した人のうち起訴される割合」は公的統計からは計算できません。

このページの出典

  1. 統計法務省 検察統計調査(e-Stat)年次 表37 罪名別 既済となった被疑事件の捜査の端緒別人員(2016〜2025年。リンクは2025年)確認日 2026-10-24
  2. 統計法務省 検察統計調査(e-Stat)年次 表38 既済事由別 既済となった被疑事件の捜査の端緒別人員(2016〜2025年。リンクは2025年)確認日 2026-10-24
  3. 統計法務省 検察統計調査(e-Stat)年次 表30 被疑事件の総数及び告訴、告発事件の処理期間別人員(2016〜2025年。リンクは2025年)確認日 2026-10-24
  4. 統計法務省 検察統計調査(e-Stat)2025年 表5 被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年比較(平成24年〜令和7年)確認日 2026-10-24
  5. 統計法務省 検察統計調査(e-Stat)2025年 表8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員(総数行の「他の検察庁に送致」)確認日 2026-10-24
  6. 統計法務省 検察統計調査(e-Stat)2015年 表38 既済事由別 既済となった被疑事件の捜査の端緒別人員(旧形式xls。2015年の起訴率の参考値)確認日 2026-10-24
  7. 法令刑事訴訟法 第242条、第247条、第248条、第261条(e-Gov法令検索)確認日 2026-10-24
  8. 官公庁法務省(検察庁)「犯罪被害者の方々へ 1 検察庁と刑事手続の流れ」3 事件処理(起訴・不起訴)確認日 2026-10-24
  9. 官公庁国会会議録 第193回国会 参議院法務委員会 第4号(平成29年4月6日)発言番号6確認日 2026-10-24
  10. 官公庁国会会議録 第192回国会 参議院法務委員会 第3号(平成28年10月25日)発言番号154確認日 2026-10-24
  11. 官公庁国会会議録 第193回国会 参議院法務委員会 第16号(平成29年6月1日)発言番号308確認日 2026-10-24
  12. 官公庁国会会議録 参議院行政監視委員会 第1号(令和元年11月25日)発言番号86確認日 2026-10-24
  13. 官公庁国会会議録 第208回国会 衆議院法務委員会 第14号(令和4年5月11日)発言番号60確認日 2026-10-24
  14. 統計警察庁 平成15年版警察白書 表3-1 最近5年間の告訴・告発受理処理状況(平成10〜14年)確認日 2026-10-24
  15. 統計警察庁 令和7年の刑法犯に関する統計資料(r07_1.xlsx。表の一覧を確認)確認日 2026-10-24

よくあるご質問

告訴すると、何割くらい起訴されますか。

示せるのは、検察庁で処理が済んだ警察経由の告訴の被疑者のうち起訴された割合で、2025年は26.5%です(検察統計表38、1,763÷(1,763+4,894))。警察が受理しなかった告訴などは分母に入らないため、「告訴状を出した人のうち起訴される割合」とは意味が違います。

警察が告訴を受理する割合は分かりますか。

公的な統計からは分かりません。警察の告訴受理件数は、1998〜2002年の警察白書の値や、知能犯捜査部門の2012〜2016年の国会答弁はありますが、令和期には定期的な公表が見当たりません。受理されない場面と見直す点は、「告訴状が受理されない理由と対処」のページで扱っています。

告訴してから結論が出るまで、どのくらいかかりますか。

検察庁が受理してからの期間は検察統計の表30で分かり、2025年の告訴・告発事件では3月以内が74.0%、6月以内が89.5%でした。警察で告訴を受けてから検察庁へ送るまでの期間は含まれず、警察での期間の公的な数字は、2016年の知能犯捜査部門の答弁(1年未満が約60%)などに限られます。

検察庁に直接告訴したほうが、起訴されやすいのですか。

統計からは言えません。直接の告訴の起訴率は2025年に1.2%で警察経由の26.5%より低いものの、直接の告訴は職権濫用(2025年355人)など特定の罪名に偏っており、事件の性質が違います。表37・表38は結果の違いを示すだけで、因果は示していません。

不起訴になった理由は教えてもらえますか。

告訴をした人が請求すれば、検察官は不起訴の理由を告げなければならないとされています(刑訴法261条)。統計上の不起訴の理由は、2025年の警察経由の告訴で嫌疑不十分44.6%、起訴猶予30.6%が中心です。不起訴後の検察審査会などの制度は、「不起訴になったら:検察審査会と付審判」のページで説明しています。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。告訴・告発が受理されるか、どの罪が成立するか、起訴されるかは、事実関係と証拠をもとに警察・検察が判断することで、このページの説明で結論が決まるものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月24日時点のものを、統計は政府統計の総合窓口(e-Stat)ほか各府省の公表資料を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / e-Stat / 警察庁 / 検察庁 / 裁判所 / 法務省

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