このページの要点
- 警察に出す告訴状・告発状の作成は行政書士法1条の3第1項の業務に当たると整理され、日行連も業務の例に挙げています。被害届・証拠整理の扱いは解釈です。
- 示談交渉、警察・検察との折衝、発信者情報開示や損害賠償の裁判手続は、弁護士法72条により弁護士の領域とされています。
- 検察庁に出す書類の作成は司法書士法3条1項4号の業務です。行政書士の告訴状作成を直接判断した判例・公式見解は、調べた範囲では確認できていません。
- 日行連の報酬額統計の平均は120,923円ですが回答13件です。法テラスの民事法律扶助は刑事手続に使えず、弁護士費用の援助は対象が限られます。
結論:警察に出す告訴状の作成は行政書士の業務、交渉や裁判手続は弁護士の領域です
結論
- 警察(司法警察員)に出す告訴状・告発状の作成は、行政書士法1条の3第1項の「官公署に提出する書類」の作成に当たると整理されており、日本行政書士会連合会(以下「日行連」)も告訴状・告発状を行政書士の業務の例に挙げています。
- 加害者との示談交渉、警察・検察との折衝、発信者情報開示や損害賠償の裁判手続は、弁護士法72条により弁護士の領域とされています。検察庁に提出する書類の作成は、司法書士法3条1項4号で司法書士の業務と定められています。
- 日行連の報酬額統計(令和7年度)では、告訴状・告発状作成の平均は120,923円ですが、回答は13件にとどまり、相場とまでは言えません。各事務所の表示額にも幅があります。
- 弁護士費用の公的な援助は対象が限られます。法テラスの民事法律扶助は、被害届の提出など刑事事件の手続には使えないと案内されています。
告訴とは、犯罪の被害を受けた人などが、警察(司法警察員)や検察官に犯罪の事実を申し出て、犯人の処罰を求める意思を示すことです。被害者以外の人が同じことをするのが告発、被害にあった事実を警察に届け出るのが被害届です。告訴の意思を書面にしたものを告訴状と呼びます。三つの違いは、告訴・告発・被害届の違いと告訴できる人のページで詳しく扱っています。
このページでは、告訴状を「誰に頼めるか」を、行政書士法・司法書士法・弁護士法の条文と公的資料から整理します。このサイトの運営者は行政書士法人です。そのため、条文に書かれていること、条文からの読み(解釈)にとどまること、公的な判断が確認できていないことを分けて書きます。
誰に何を頼めるか:弁護士・司法書士・行政書士・法テラス・自分で
告訴は、本人が自分で行うこともできます。刑事訴訟法(以下「刑訴法」)241条1項は、告訴を「書面又は口頭で」検察官または司法警察員にすると定めており、書面を作る資格の定めはありません。口頭で告訴した場合は、受けた側が調書を作ります(同条2項)。また、告訴は代理人によってすることもできます(刑訴法240条)。
そのうえで、告訴状の作成や、その後の手続を人に頼む場合には、頼む先の資格によってできることの範囲が法律で分かれています。下の表は、各資格の根拠条文から見た整理です。
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
2 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。
要旨告訴・告発は、書面でも口頭でも、検察官か警察(司法警察員)に対して行います。口頭のときは、受けた側が調書にまとめます。
告訴に関わる作業と、頼める先(条文から見た整理)
| 頼む先 | 警察に出す告訴状・告発状の作成 | 検察庁に出す告訴状の作成 | 相手方との示談交渉・捜査機関との折衝 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 弁護士 | できる | できる | できる | 弁護士法3条1項(一般の法律事務)。72条の禁止は「弁護士又は弁護士法人でない者」が対象 |
| 司法書士 | 条文の文言には警察は挙がっていない | できる | 簡易裁判所の対象となる一定額以下の民事紛争の和解の代理などに限られ、法務大臣の認定を受けた司法書士に限る(同条2項) | 司法書士法3条1項4号・5号・7号、2項 |
| 行政書士 | できる(日行連の例示あり) | 条文の読みでは司法書士の業務に当たり、扱えない | 弁護士の領域とされている | 行政書士法1条の3、司法書士法73条1項、弁護士法72条 |
| 法テラス | 作成はしない(電話窓口は情報提供と紹介) | 同左 | 対象の限られた援助制度で弁護士につなぐ | 法テラスの各制度の案内 |
| 自分で | できる | できる | (本人として行う) | 刑訴法241条 |
弁護士・司法書士の欄は、各法の業務の定めと、行政書士法19条1項ただし書の「他の法律に別段の定め」から整理したものです。行政書士の「扱えない」の欄は条文の組合せによる読みで、公的な先例は確認できていません(後の章で説明します)。
告訴状の作成をどこに頼むかの整理(条文から)
告訴状を出す先は検察庁(検察官)ですか
はい検察庁に出す書類の作成は司法書士法3条1項4号の業務で、弁護士も扱えます。行政書士の業務の外という整理は、条文の読みです(後の章で説明します)。
いいえ次の問いへ進みます。
告訴状の作成に加えて、相手方との交渉、代理人としての捜査機関への働きかけ、裁判手続も必要ですか
はいそれらは弁護士法72条により弁護士の領域とされています。
いいえ次の問いへ進みます。
警察(司法警察員)に出す告訴状・告発状を、書面で作りたいですか
はい自分で作るほか、行政書士(行政書士法1条の3)や弁護士に作成を頼めます。
いいえ書面がなくても口頭で告訴でき、受けた側が調書を作ります(刑訴法241条2項)。
個々の事件でどの手続が必要かを判断するものではなく、各資格の条文から見た整理です。
行政書士ができること:警察に出す告訴状・告発状・被害届の作成
行政書士の業務の中心は、行政書士法1条の3第1項に定める書類の作成です。この条文は、令和7年法律第65号による改正(令和8年1月1日施行)で条番号が繰り下がった後の現行の番号です。改正前の番号のまま根拠を書いている解説も公開ページに残っているため、条番号を確かめるときは現行の条文を見る必要があります。
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
要旨行政書士は、役所などの官公署に出す書類や、権利義務・事実証明に関する書類を、依頼を受けて作ることを仕事にします。ただし、他の法律で制限されている書類は作れません。
警察(司法警察員)は官公署に当たるため、警察に出す告訴状・告発状の作成は、この条文の業務に当たると整理されています。日行連の公式ページ「行政書士の業務」も、「権利義務に関する書類」の例として「内容証明、告訴状、告発状」などを挙げています。
被害届は日行連の例示には入っていません。被害届も警察に出す書類であることから、官公署に提出する書類として同じ条文に当たる、という整理は条文からの解釈です。証拠の整理や一覧表(証拠目録)、出来事の時系列表、警察への提出方法の案内も、書類の作成に付随する作業、または次の1条の4第1項4号の「書類の作成について相談に応ずること」として整理されていますが、これも解釈です。
行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。(略)
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
要旨行政書士は、作れる書類について、その作成の相談に応じることができます。他の法律で制限されている事項は除かれます。
ここでいう相談は、あくまで「作成できる書類の作成について」の相談です。弁護士法74条2項は、弁護士でない者が利益を得る目的で「法律相談その他法律事務を取り扱う旨」を表示することを禁じています(違反は100万円以下の罰金、同法77条の2)。行政書士に頼める相談は、告訴状をどう書くか、何を添えるかといった書類づくりの範囲にあります。
確認できていないこと
行政書士法1条の4第1項1号は、官公署に提出する書類を提出する手続の代理を定めていますが、弁護士法72条に規定する法律事件に関する法律事務に当たるものを除いています。この「提出手続の代理」が告訴状の警察への提出に及ぶかを述べた総務省・日行連の公式見解は、調べた範囲では確認できていません。
行政書士ができないこと:交渉・示談・裁判手続(弁護士法72条)
行政書士の業務の外側にあるのが、弁護士法72条の「法律事務」です。この条文は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して代理や和解などの法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じています。違反には2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています(同法77条3号)。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
要旨弁護士でない者は、報酬目的で、訴訟などの法律事件について、代理・和解・法律的な見解の表明などを仕事として行うことはできません。
条文は個々の行為を名指ししていませんが、告訴の場面では、次の行為が弁護士の領域とされています。①加害者との示談交渉や和解の代理、②依頼者の代理人として、警察や検察に受理を求めて折衝すること、③損害賠償の請求の交渉や訴訟、④「起訴される」と言い切るような法的な見通しを専門的な見解として示すこと、です。それぞれが72条に当たるかの当てはめは解釈です。
ネット上の書き込みについて、投稿者の情報の開示を求める裁判手続も、依頼を受けて代理するのは弁護士の業務です(司法書士は簡易裁判所の一定の手続などに限って代理が認められています)。開示の仕組みと告訴との順序は、ネット中傷:発信者情報の開示と告訴の順序のページで扱っています。示談と告訴の関係は、受理後の流れと取下げ・示談・虚偽告訴の注意のページにまとめています。
最高裁大法廷 昭和46年7月14日判決
昭和44年(あ)第1124号・刑集25巻5号690頁裁判所サイトの判示事項・裁判要旨と、判決文PDF(理由)で確認
- 事案
- 弁護士法72条違反に問われた事件で、同条の構造と趣旨が争われました。
- 判断の要点
- 72条は、弁護士でない者が「報酬を得る目的」で「業として」法律事務を取り扱うこと等を禁じる規定だと判断しました。資格も規律もない者が他人の法律事件にみだりに介入すると、当事者の利益を損ない、法律生活の公正で円滑な営みを妨げるため、これを禁じる趣旨だと述べています。告訴状の作成を扱った判決ではありません。
確認した場所:裁判所 裁判例検索
検察庁に出す告訴状は司法書士法の領域(条文の読み)
刑訴法241条1項のとおり、告訴は警察だけでなく検察官にもできます。警察が告訴を受け付けないときに、検察官に告訴状を出すことを考える場面もあります(その使い分けは不受理のあと使える手段の使い分けのページで扱っています)。ここで問題になるのが、検察庁に出す書類を作る資格です。
司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。(略)
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類若しくは電磁的記録又は筆界特定の手続(略)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。(略)
要旨裁判所や検察庁に出す書類の作成と、その相談は、司法書士の業務と定められています(3条1項4号・5号)。
司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
要旨司法書士でない者は、他の法律に定めがある場合を除いて、3条1項1号〜5号の業務を行ってはならないとされています。
行政書士法1条の3第2項は、他の法律で制限されている書類の作成はできないと定めています。司法書士法3条1項4号・73条1項と合わせて読むと、検察庁に提出する告訴状の作成は行政書士の業務の外にある、という整理になります。司法書士法73条1項に違反した場合は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(同法78条1項)。弁護士は、弁護士法3条1項の職務として扱えるとされています。
確認できていないこと
「行政書士は検察庁宛ての告訴状を作成できない」と明言した日行連・総務省の公式な先例は、調べた範囲では確認できていません。上の整理は、条文の組合せによる読みです。
非弁との線引き:依頼者の趣旨の書面化と、法律判断・交渉の違い
行政書士が作る告訴状は、依頼者が経験した事実と、処罰を求める意思を、捜査機関に伝わる書面の形に整えるものです。これに対し、相手方と交渉する、捜査機関に代理人として働きかける、事件の法的な見通しを専門的見解として示す、といった行為は、前の章のとおり弁護士の領域とされています。このページでは、依頼者の趣旨を書面にすることか、依頼者に代わって法律事務を行うことかを、区別の目安として整理しています。これは公的に示された基準ではありません。
72条の「法律事件」の読み方について、法務省は、契約書などを扱うAIサービス向けのガイドラインで考え方を示しています(令和5年8月、令和8年8月21日)。令和8年の文書は、例示された訴訟事件などに準ずる程度に、法的紛議が生じることがほぼ不可避に想定され得る案件であるという「事件性」が必要とし、法務省のこれまでの立場(事件性必要説)を踏まえるとしています。同時に、事件性の要否や程度には「様々な見解があり得る」とも書いています。令和5年の文書は、72条の「報酬」には現金に限らず物品や供応も含まれ、額の多少を問わないとしています。
これらはAI等の契約書・法務業務支援サービス向けの文書で、行政書士の告訴状作成の可否を論じたものではありません。ここでは、72条の一般的な考え方を示す公的な説明として紹介しています。
最高裁第一小法廷 平成22年7月20日決定
平成21年(あ)第1946号・刑集64巻5号793頁裁判所サイトの判示事項・裁判要旨と、決定文PDF(理由)で確認
- 事案
- 弁護士資格のない者が、ビルの所有者から報酬を得て、立ち退く意向のない賃借人らとの合意解除・明渡しの交渉を引き受けた事件です。
- 判断の要点
- 立ち退きの成否や時期、立ち退き料の額をめぐって、交渉で解決しなければならない法的紛議が生じることがほぼ不可避な案件だとして、72条の「その他一般の法律事件」に当たるとし、同条違反の成立を認めました。法務省の令和8年のガイドラインも「事件性」の根拠として挙げています。告訴状の作成を扱った決定ではありません。
確認した場所:裁判所 裁判例検索
行政書士が依頼者の紛争で交渉に踏み込んだ例として、報道によれば、福岡地裁令和3年12月7日判決は、相手方との交渉が当然に予想される状況で結ばれた行政書士との委任契約2件を、72条違反で公序良俗に反し無効とし、報酬の返還を認めたとされています。告訴状とは関係のない事案で、判決の原文は確認できていません。
日行連の業務説明は、告訴状・告発状を例に挙げつつ、「他の法律において制限されているものについては、業務を行うことはできません」と付記しています。告訴状の作成が72条に当たらないと述べた日行連・単位会・総務省の文書は、調べた範囲では確認できていません。
確認できていないこと
行政書士による告訴状の作成が適法かどうかを直接判断した判例、懲戒の例、法務省・総務省・日行連の公式見解は、調べた範囲では確認できていません。このページの整理は条文の読みによるものです。72条に当たるかは、最終的には個別の事実に基づいて裁判所が判断する事柄とされています。
資格のない人に有料で頼むときの注意(行政書士法19条1項)
告訴状の作成を、行政書士・弁護士・司法書士のいずれでもない人や会社に、報酬を払って頼む場合にも、条文上の制限があります。行政書士法19条1項は、行政書士・行政書士法人でない者が、名目を問わず報酬を得て、業として1条の3の業務を行うことを禁じています。
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び(略)この限りでない。
要旨行政書士でない者は、どのような名目であっても、報酬を得て官公署提出書類などの作成を仕事として行うことはできません。弁護士・司法書士のように他の法律で業務が定められている場合は別です。
「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の部分は、令和8年1月1日施行の改正で加わった文言です。日行連の会長談話(令和7年11月1日)は、「会費」「手数料」「コンサルタント料」など、名目を変えても対象になる趣旨を説明しています。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法21条の2)。
依頼先が行政書士かどうかは、行政書士でない者が行政書士や紛らわしい名称を使うことが禁じられていること(同法19条の2)も踏まえ、名乗っている資格と事務所の情報を確かめることになります。個々のサービスがこの条文に当たるかは、ここでは判断しません。
費用の目安:日行連の報酬額統計と各事務所の表示額
行政書士は、事務所の見やすい場所に報酬の額を掲示しなければなりません(行政書士法10条の2第1項)。また、日行連と行政書士会には、報酬の額の統計を作って公表する努力義務があります(同条2項)。この統計のうち、告訴状・告発状作成の項目(No.455)は次のとおりです。
統計告訴状・告発状作成(No.455)の報酬額(令和7年度調査)
| 金額帯 | 回答件数 |
|---|---|
| 2万円未満 | 2 |
| 2万円以上4万円未満 | 3 |
| 4万円以上6万円未満 | 2 |
| 6万円以上8万円未満 | 0 |
| 8万円以上10万円未満 | 0 |
| 10万円以上 | 6 |
| 合計(平均120,923円、最小8,000円、最大400,000円) | 13 |
出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(令和8年1月実施)No.455 告訴状・告発状作成(報酬額統計の掲載ページ)
金額は消費税込み・立替金を含まない額です。回答は13件と少なく、行政書士全体の相場を示す数字としては使えません。10万円以上の回答が6件ある一方、4万円未満も5件(2件+3件)あり、案件ごとの幅が大きい結果です。
公開されている行政書士事務所の料金ページを見ると、金額の決め方も事務所ごとに違います。次の表は、2026年10月24日に確認した各事務所の表示額の例で、相場や標準を示すものではありません。
行政書士事務所の料金ページにある表示額の例(2026年10月24日確認)
| 項目 | 各事務所の表示額 | 表示上の注記 |
|---|---|---|
| 告訴状の作成(基本の料金) | 30,000円(簡易版)・50,000円(通常版)/33,000円/50,000円〜/55,000円〜(名誉毀損の告訴状) | 税込・税別・税表記なしが混在 |
| 罪名・難しさによる違い | 告訴状77,000円、知能犯(詐欺・業務上横領など)110,000円/複雑な案件100,000円〜 | 罪名や資料の量で変わる表示 |
| 書く罪名(条文)が増える場合 | 2条文目以降、1条文ごとに16,500円加算 | 1事務所の設定 |
| 被害届の作成 | 33,000円〜 | 1事務所の表示 |
| 不受理となった場合の扱い | 22,000円の減額/対応手続22,000円/対応手続30,000円〜 | 扱いは事務所ごとに異なる |
金額は各事務所の表示額をそのまま要約したもので、行政書士全体の相場ではありません。税の扱いも表示どおりです。料金に含まれる作業の範囲は事務所ごとに異なります。料金の名目にかかわらず、捜査機関との折衝や相手方との交渉に当たる行為は、第4章のとおり弁護士の領域とされています。
費用を比べるときは、金額だけでなく、税込か税別か、どの作業が含まれるか、罪名や資料の量で変わるか、を表示で確かめることになります。なお、不起訴のあとに検察審査会に審査を申し立てる手続について、裁判所は「申立てや手続案内には、費用はかかりません」と案内しています(制度は不起訴になったら:検察審査会と付審判のページで説明しています)。
このサイトを運営するアトラス行政書士法人では、警察(司法警察員)に提出する告訴状・告発状の作成料金を1通30,000円(税込)としています。料金は書類の作成に対するもので、受理や起訴といった結果によって変わる料金はありません。
公的な支援:法テラスの窓口と弁護士費用の援助制度
犯罪の被害者向けには、国や法テラス(日本司法支援センター)の支援制度があります。ただし、弁護士費用の援助は、対象の犯罪や時期、資力の条件が細かく決まっており、告訴状の作成の段階で使えるものは限られます。電話番号や受付時間は変わることがあるため、各制度の公式ページで確かめてください。
被害者が使える主な公的支援(2026年10月24日に公式ページで確認)
| 制度 | 内容 | 対象・条件 | 告訴状の作成との関係 |
|---|---|---|---|
| 法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル | 刑事手続の流れ、支援制度、相談窓口の案内、支援の経験がある弁護士の紹介など | 受付は平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00(日曜祝日・年末年始休業)とページに記載 | 情報提供と紹介の窓口で、告訴状を作る窓口ではない |
| 民事法律扶助(法テラス) | 弁護士費用等の立替え(分割で返済) | 離婚手続や損害賠償請求など民事事件の手続 | 「被害届の提出など刑事事件に関する手続は利用できません」と案内 |
| 犯罪被害者等法律援助(犯罪被害者等支援弁護士制度) | 弁護士による相談と、弁護士費用の援助(原則無料。回収額などにより負担あり) | 令和8年1月13日以降の被害。故意の犯罪による死亡、一定の性犯罪等、治療期間3か月以上または後遺障害が残る負傷。本人と配偶者の資力300万円以下 | 対象犯罪に限り使える。窃盗・詐欺・名誉毀損・脅迫・横領などはこの3類型に当たらない |
| 日弁連委託援助(犯罪被害者法律援助) | 刑事裁判・少年審判・行政手続などに関する弁護士の活動の援助 | 生命・身体・自由・性的自由に対する犯罪、配偶者暴力、ストーカー行為等の被害者など。資力要件あり | 子どもに対する援助には、児童虐待の刑事告訴手続の代理等が含まれるとされている |
| 国選被害者参加弁護士 | 被害者参加制度(刑事裁判への参加)で、国が弁護士費用を負担 | 資産から一定の費用を差し引いた額が200万円未満 | 起訴後の制度で、告訴状の作成の段階では使えない |
| 犯罪被害給付制度(警察) | 国が遺族給付金・重傷病給付金・障害給付金を一時金で支給 | 故意の犯罪による死亡・重傷病・障害。申請は被害の発生を知った日から2年、発生から7年を過ぎるとできない。手数料なし | 告訴の有無とは別の制度。財産や名誉の被害は対象外 |
日弁連委託援助の資力要件の金額は、ページの抽出で確認できていないため書いていません。各制度の詳しい条件は、出典に挙げた公式ページで確認できます。
犯罪被害者等法律援助は、法務省の「犯罪被害者等支援弁護士制度」の説明でも、法テラスが被害者からの問合せに応じて制度の説明や弁護士の紹介を行い、被害者が紹介された弁護士から相談などを受ける仕組みとされています。この制度の対象にならない場合でも、法テラスの他の被害者支援制度を利用できる場合があると説明されています。
弁護士の領域になる場面:制度の性質から見た整理
告訴状の作成は行政書士の業務に当たるとされていますが、被害の状況によっては、告訴状の作成だけでは足りず、弁護士が扱う手続が必要になります。次の表は、各制度の性質から見た整理です。
告訴状の作成だけでは足りない場面と、その理由
| 場面 | 必要になる手続 | 理由 |
|---|---|---|
| 相手が誰か分からない | 発信者情報開示などの裁判手続 | 裁判手続の代理は弁護士の業務(簡易裁判所の一定の手続は司法書士)。ただし、相手の氏名が分からないまま告訴すること自体は告訴状の作成でできる |
| 損害賠償も請求したい | 示談・調停・訴訟 | 相手方との交渉や裁判の代理は、弁護士法72条により弁護士の領域とされている |
| 相手方に弁護士が付いている、相手方から交渉の連絡が来ている | 相手方との交渉 | 同上 |
| 警察が受理を拒む、「民事」と言われるなど、捜査機関との折衝が必要 | 代理人としての折衝 | 代理人として受理を求めて折衝することは弁護士の領域とされている |
| 検察庁・裁判所への書面が必要 | 検察庁宛ての告訴状、民事訴訟など | 検察庁・裁判所に出す書類の作成は司法書士法3条1項4号で司法書士の業務と定められている(弁護士も扱える) |
| 起訴後に刑事裁判に参加したい | 被害者参加、意見陳述 | 刑事裁判での被害者の代理人としての活動 |
| 身の危険がある(ストーカー・DVなど) | 警察・専用窓口による安全の確保 | 書面の作成より先に、安全の確保が必要になる |
表は各制度の性質からの整理で、個々の事件でどの手続が必要かを判断するものではありません。
相手の氏名が分からない場合の告訴状の書き方は、告訴状の書き方と相手不明の場合の告訴のページで説明しています。警察が告訴状を受け付けないときに何を見直すかは、告訴状が受理されない理由と対処のページにまとめています。
確認できていないこと
不起訴のあとの検察審査会への審査申立書や、付審判請求書の作成を誰が担えるかを示した公的な根拠は、調べた範囲で確認できていません。検察審査会は地方裁判所等の所在地に置かれる独立の機関で(検察審査会法1条・3条)、申立書には処分を不当とする理由を書き(同法施行令18条1項7号)、申立ては処分に不服があるときにします(同法30条)。司法書士法3条1項4号の「裁判所若しくは検察庁」に当たるかの公的解釈も見当たりません。制度は不起訴後の手続のページで説明します。
まとめ
- 警察(司法警察員)に出す告訴状・告発状の作成は、行政書士法1条の3第1項の業務に当たると整理され、日行連も告訴状・告発状を業務の例に挙げています。被害届、証拠の整理、提出方法の案内を業務に含めるのは解釈による整理です。
- 示談交渉、警察・検察との折衝、開示請求や損害賠償の裁判手続は、弁護士法72条により弁護士の領域とされています。
- 検察庁に出す書類の作成は司法書士法3条1項4号で司法書士の業務と定められており、行政書士は扱えないという整理は条文の読みです。行政書士の告訴状作成の適法性を直接判断した判例・公式見解は、調べた範囲では確認できていません。
- 日行連の報酬額統計(令和7年度)の告訴状・告発状作成は平均120,923円ですが、回答13件の少数調査です。各事務所の表示額は、税の扱いや含まれる作業もあわせて確かめる必要があります。
- 法テラスの民事法律扶助は刑事手続に使えず、犯罪被害者等法律援助や国選被害者参加弁護士は対象や時期が限られます。犯罪被害給付制度は告訴とは別の制度です。
このページの出典
- 法令行政書士法 第1条の3・第1条の4・第10条の2・第19条・第19条の2・第21条の2(e-Gov法令検索)確認日 2026-10-24
- 法令行政書士法の改正履歴 令和7年法律第65号(2026年1月1日施行)(e-Gov)確認日 2026-10-24
- 法令司法書士法 第3条・第73条・第78条(e-Gov法令検索)確認日 2026-10-24
- 法令弁護士法 第3条・第72条・第74条・第77条・第77条の2(e-Gov法令検索)確認日 2026-10-24
- 法令刑事訴訟法 第240条・第241条(e-Gov法令検索)確認日 2026-10-24
- 法令犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律 第1条・第3条・第4条(e-Gov法令検索)確認日 2026-10-24
- 判例最高裁大法廷 昭和46年7月14日判決(昭和44年(あ)第1124号、刑集25巻5号690頁)判示事項・裁判要旨確認日 2026-10-24
- 判例最高裁第一小法廷 平成22年7月20日決定(平成21年(あ)第1946号、刑集64巻5号793頁)判示事項・裁判要旨確認日 2026-10-24
- その他弁護士ドットコムニュース 福岡地裁令和3年12月7日判決の報道(記事本文。判決原文は未確認)確認日 2026-10-24
- 官公庁日本行政書士会連合会「行政書士の業務」権利義務に関する書類の例示・末尾確認日 2026-10-24
- 官公庁日本行政書士会連合会 会長談話(令和7年11月1日)行政書士法19条1項の改正確認日 2026-10-24
- 統計日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」No.455 告訴状・告発状作成確認日 2026-10-24
- 官公庁法務省「ビジネス分野におけるAI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係について」(令和8年8月21日)第2の2(1)・注5確認日 2026-10-24
- 官公庁法務省「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」(令和5年8月)報酬を得る目的確認日 2026-10-24
- 官公庁法テラス「犯罪被害者の方へ」犯罪被害者支援ダイヤル確認日 2026-10-24
- 官公庁法テラス「民事法律扶助制度」制度の概要・対象確認日 2026-10-24
- 官公庁法テラス「犯罪被害者等法律援助(犯罪被害者等支援弁護士制度)」対象となる犯罪・資力要件確認日 2026-10-24
- 官公庁法テラス「日弁連委託援助制度」制度の概要確認日 2026-10-24
- 官公庁法テラス「「被害者参加人」のための国選弁護制度」資力の条件確認日 2026-10-24
- 官公庁法務省「犯罪被害者等支援弁護士制度」対象となる犯罪・資力要件確認日 2026-10-24
- 官公庁警察庁「犯罪被害者等給付金支給裁定の申請」手続対象者・提出時期・手数料確認日 2026-10-24
- 官公庁裁判所「検察審査会での審査の流れ」審査申立てについて確認日 2026-10-24
- その他各行政書士事務所のウェブサイトの料金表示(2026-10-24 閲覧。事務所名は掲載しない)確認日 2026-10-24
よくあるご質問
行政書士に告訴状を頼めば、警察に受理してもらえますか。
受理するかどうかは警察が判断することで、誰が告訴状を作ったかで決まるものではありません。犯罪捜査規範63条1項は、司法警察員に告訴の受理を義務づけていますが、告訴状を作った者が受理を約束できるものではありません。受理されない場面と見直す点は「告訴状が受理されない理由と対処」のページで扱っています。
検察庁に告訴状を出したいとき、行政書士に作成を頼めますか。
条文の読みでは、行政書士の業務の外にあると整理されます。司法書士法3条1項4号は検察庁に提出する書類の作成を司法書士の業務とし、行政書士法1条の3第2項は他の法律で制限された書類を作れないとしています。この点を明言した公式の先例は、調べた範囲では確認できていません。検察官への告訴を考える場面は「不受理のあと使える手段の使い分け」のページで説明しています。
告訴状の作成と一緒に、加害者との示談交渉も行政書士に頼めますか。
示談交渉は、弁護士法72条により弁護士の領域とされています。同条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、法律事件について和解や代理などの法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じています。示談と告訴の関係は「受理後の流れと取下げ・示談・虚偽告訴の注意」のページにまとめています。
法テラスの費用の立替えは、告訴状の作成に使えますか。
民事法律扶助は使えません。法テラスは「被害届の提出など刑事事件に関する手続は利用できません」と案内しています。令和8年1月13日以降の被害を対象とする犯罪被害者等法律援助は、故意の犯罪による死亡や一定の負傷、性犯罪等に対象が限られ、詐欺・名誉毀損・横領などは対象の3類型に当たりません。
資格のないコンサルタントに、有料で告訴状を作ってもらっても問題ありませんか。
行政書士法19条1項は、行政書士でない者が、名目を問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類などを作成することを禁じています(弁護士・司法書士など他の法律に定めがある場合は別)。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法21条の2)。個々のサービスが当たるかは事実によります。
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本ページは一般的な情報提供です。告訴・告発が受理されるか、どの罪が成立するか、起訴されるかは、事実関係と証拠をもとに警察・検察が判断することで、このページの説明で結論が決まるものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月24日時点のものを、統計は政府統計の総合窓口(e-Stat)ほか各府省の公表資料を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / e-Stat / 警察庁 / 検察庁 / 裁判所 / 法務省